『すいません』
知り合いとお茶をしていた時間。
隣りの席から熱いエネルギーを感じる。
学生らしき女の子と店長らしき人が座っていた。
会話が止まった瞬間に隣りから聞こえてくる青年の主張。
何やらバイトの環境改善を要求しているらしい。
彼女は相手にしっかりと眼差しを向けて主張している。
その眼差しは線で言うと真っ直ぐ。全くブレていない。
相手が話している時も眼差しは真っ直ぐ。
影響されて、少しだけ厳粛な気持ちになる。
僕は席から立ち上がった。
すると、彼女がその眼差しを初めて、上に向けて
僕を見た。そして、斜めに向けて小さく、あっ…と言った。
僕は本を席に忘れていた。
『すいません』
凄まじい一点集中だったのに、
周りの一瞬の変化を見逃さない。
真っ直ぐと変化する眼差しを持った人は
美しい。